バイクというのは走行中、けっこう孤独である。
仲間とツーリングしてても、信号待ちで隣と話をするくらいなもので、たとえタンデムでもひとたび走り出せばエンジンノイズと風切り音で声はかき消されてしまう。
それが近年は中華のbluetoothインカムが1万円以下で手に入るようになってかなり普及するようになった。
パパのバイク仲間でもそれが流行りだして、勧められてそれじゃあと購入してみた。使ってみれば非常に便利で楽しく、スマホと連携させれば一人の時でも十分活用できることが分かり、いまではツーリングにはなくてはならないアイテムになった。
興味が出るといろいろ研究したくなるもの、昔からある連絡手段で免許不要な特小トランシーバーというのも試してみた。
Bluetoothインカムと特小トランシーバーはそれぞれメリットとデメリットがあり、どういうシチュエーションでどちらの使用がいいのか、または両方併用が可能なのかをレビューしつつ考察してみたい。
Bluetoothインカム
もともとB+COMというのが出ていたのは知っていたが高価過ぎて興味がなかった。それが何分の一の値段で中華インカムが出てきたもんから気軽に利用してみようという気になったわけだ。(ちなみにb+comと中華をペアリングを試みたけど出来なかった。)
さて、中華インカムはいろいろな派生ブランドや品名が出ていて一見してどれを買えばいいかよく分からなかったりするが、乱暴に言うとこの写真のと形が同じなら互換性があって通信が可能だ。
通信距離は見通しの範囲数百メートルといったところだが連なって走る分には問題はない。しかし信号などで分断したりして距離が離れていくとノイズが次第に大きくなっていき、最後はリンクが切れてしまう。でもまた近づいていけばそのうち自動で繋がるから手間ではない。
肝心の通話品質については、マイクはヘルメットシールド内にて口にくっつくほど近づける必要があるが、風切り音も入らず通話は驚くほどとてもクリアである。双方向の同時通話で送信受信の切り替えの必要がなくストレスフリーの楽しい会話ができる。
そしてバイクに特化した商品なので、単品で買うだけでヘルメット用のスピーカーマイクやヘルメットに取り付けクリップなど全部セットで入っていて手軽である。
(ただ、この取り付けクリップの耐久性はあまり良くない。別途記事:Bluetoothインカム用ヘルメット取付クリップはすぐ破損する)
仕様について
さらに中華インカムは細かい仕様違いがあったりもするが大別して2つのグレードがある。二人同時通話モデルの6Riders、V6、BT、V2と呼ばれるものと、四人同時通話モデルの4Riders、V4と呼ばれるものだ。
二人同時通話モデルは基本的に1対1のペアリングでしか通話はできない。しかし、ペアリングの相手が四人同時通話モデルだと最大で4人の同時通話が可能になってくる。
四人同時通話モデルというのはダブルペアリングが可能で2つの回線を同時に聞いたり話したり、そして中継することができる。(価格もダブルだが)
その機能を使うことによって、四人同時通話モデルが2台以上あれば最大4台までの同時通話が可能になる。
スマホでの通信もOK
bluetoothなので、一人の時はスマホとペアリングが出来る。
音楽やナビ音声、電話、そしてスカイプでの通話などが可能である。
パケットを気にしなければ、二人同時通話モデルだからと言ってもスマホでスカイプなどのチャットアプリ等を使えば10人とか同時通話が可能になってしまう。しかも距離関係ないので、まったく違うところを走っているのに一緒に走っている気分が味わえる。
通話アプリの通話品質をチェックしてみた
ハングアウト、LINE、スカイプの3種類を使って、他県の友人と同時走行しながら通話してみた。
スカイプが一番良好で直接繋げているのと変わらないくらいクリアな音質だ。速度も50km/hくらいまでならノイズはなく、停まっているのか、走っているのか質問して確認しないと分からない位だった。
スマホのインカメラを自分の顔に向けてセットし、スカイプのビデオ通話もしてみた。
バックミラーを見る感じで相手の顔を見ながら話せ、まるで一緒に走っているか、タンデムしているような錯覚を覚える。すごい時代になったものだ。
デメリットを挙げるなら
ただ、常にこちらの声を送信し続ける同時通話方式というのは、会話をするのにとても快適で素晴らしいのだが、困るのは話題が無くなって沈黙のときである。それでときどき繋がってることをうっかり忘れて独り言や鼻歌など歌ってしまい、恥ずかしい思いをすることがある。(実話w)
それと、毎回ペアリング作業が地味に面倒である。
1対1ならそれほどでもないが、4人同時通話ペアリングの手順は実に難解で、この前のツーリングでは炎天下で10分以上やったが出来なくて結局断念してしまったくらいだ。
電源を落とすとペアリングやり直しになることもあり、怖くて休憩中も電源を入れっぱなしである。
まぁこれはスキルの問題なのかもしれない。
また充電式バッテリーを使用していて、常時発信しているにしては省電力で(まだ新しいからかもしれないが)半日は余裕で持つ感じ。
ただ電池交換はできない内臓式で、しかも充電と通話は同時に出来ないので長時間連続使用したかったら2台所有して交互に使うとか・・?
使用用途でまとめると
インカムというのは親しい4人グループでわいわいおしゃべりしながらツーリングするなら絶対おすすめ出来る商品である。
特小トランシーバー
正式には特定小電力トランシーバーという。昔からある規格で免許不要、値段の安さ、汎用性・互換性はダントツによい。
ケンウッド DEMITOS ?UBZ-LP20
やはりブランド物は格好が良い。持っていて見せびらかせたくなる。だから腰とかに装備するときはレザーアイテムのように出来るだけ目立つように身に着けたい。
1台ではテストも出来ないので、予備機として安物も買ってみてある。
TOTALWIN20 特定小電力トランシーバー2個セット【T-717】 (2017/01/25:値上がりしてたのでリンク削除)
マイクジャックがKENWOODと共通でアンテナが回転収納、単3電池3本・・仕様もさることながら筐体の構造までこのケンウッドUBZ-LP20にそっくりで笑え・・いや機能もグループモード、チャンネルスキャン、スケルチレベル調整、VOX内臓、CALLベル、オートパワーオフと一通りの多機能でびっくりだ。
耐久性云々についてはちょっと分からない。
電源を切り忘れたのか、ろくに使ってもないのに電池残量がスッカラカンになっていてびっくりしたのが2回あったくらい。ケンウッドはまるでテレビのリモコンでオンオフ出来るようにわずかな電力で待機するかのような、(ちょっと受信反応が遅れるが)省電力モードというのがあるが、これにはそういうのは見当たらない。
まぁ使用する分には問題は見当たらないが、やはり見た目のチープ感がなんともね・・・。
これを使うときは内ポケットに隠して使うことにする。
さて、この特小トランシーバーというのは周波数というかチャンネル数が20チャンネルあり、高級品でも安物でもチャンネルを合わせれば通話が可能だ。(ただし、20チャンネルというのは昔の9チャンネル規格と11チャンネル規格を合体させたもので、メーカーによってチャンネルの呼び方が違うケースがある。例えば1から20チャンネル表示のものもあれば、1から11とh1からh9チャンネルという風。)
通信距離はインカムと同じく見通し数百メートルといったところ。
台数制限についてはインカムは最大4人までだったが、トランシーバーは電波の届く範囲なら使用可能台数は無制限である。
しかし、トランシーバー(無線機)はインカムとはまったく違う通話方式、片側通話という特性を理解する必要がある。
電源スイッチを入れるとまず受信状態。こちらが話すときはPTT(送信)ボタンを押しながら話をする。そしてチャンネル内に何人居ようと送信できるのは1人だけ。つまり誰かが話を始めたら、ツッコミを入れたくてもその送信電波が切れるまで待たなくてはならない。
もし2人が同時に送信ボタンを押して話し始めてしまうと、他の人はガーガービービーと何をしゃべってるか理解できない。グループで連続した会話をし続けるなら順番を決めたり、次に話す人を指名したり、話し始めや長く話すときはときどき一瞬受信してみて誰も話していないか確認するなど独特のテクニックが必要である。
また、送信ボタンを押して話している間は受信ができないわけだから、話をしていても相づちを聞けず相手の反応が分からない。話を一方的にするというのはコツというか慣れが必要で、(もともとそういう話し方の人なら問題ないがw)、とにかく会話というにはちょっと違和感がある。
使用用途でまとめると
トランシーバーは会話を楽しむものというより、必要最小限の情報を伝達するためのツールだ。汎用性がありチャンネルを合わせるだけで台数制限無しで使える手軽さ。
トランシーバをバイクで使うには
基本的に話をするときは送信ボタンを押さないとならないから走行中の送信は大変である。
オプションの外付けイヤホンマイクを使用するのが一般的だと思う。コネクタはメーカーによって仕様があるので注意すること。ここでは紹介する商品はケンウッド仕様で紹介していく。
VOXという音声で自動送信オンにするとか、咽頭マイクイヤホンとかいろいろあるようだが、汎用性が高いとはいうものの、実はバイクで使用する場合は専用マイクシステムを見つけるのは非常に困難だ。(追記)安価でヘルメット用のマイクセット見つけました。ただしインカムのヘッドセットと被るので併用できるか分かりません。トランシーバだけ使うなら一番使いやすそう。ただしPTTスイッチをハンドルにつけるので乗り降りの際はコードのコネクタのつけ外しが必要。
とりあえず手っ取り早いのは携帯電話とかでよく使うような有線のイヤホンマイクを、胸元にマイク(送信ボタン付)を配置して、話すときは手で口元に引き寄せてボタンを押して話すのが簡単だ。
でも普通のイヤホンマイクの送信ボタンはかなり小さくてバイクのグローブをしているととても押しづらい。写真のような大きなハンドマイクを首からぶら下げると送信ボタンが大きくて使いやすい。
聞くときはそのマイクからイヤホンを出すか、ハンドマイクのスピーカーを大音量にすれば走行中でも聞くのは可能と思う。
送信時は片手を使うので基本的に話をするときは走行中でなく、信号待ちの時がほとんどになる。まぁ、信号に引っかかったから待っててくれとか、次のコンビニに寄ろうとか、天気ヤバそうだから止まってカッパ着ようよとか・・・、使いだすとけっこう話す事あるけど十分である。
このスタイルならインカムとも併用可能だから、連絡はトランシーバー、会話はインカムなんて使い方もできる。
大勢のツーリングではどちらがよいか
パパは4人をはるかに超える大勢の人と一緒に走るツーリングクラブによく参加している。こういうガジェットは大好きなのでインカムが流行りだしたのはとても嬉しいことだ。ただ、インカムだけだと人数制限があることで仲間に入れず疎外感を抱く人が出てしまうのではないかと運営側の観点で心配してしまう。
パパもまだ買ってなかったとき、信号待ちで隣の人がインカムで楽しそうに話をしていたので話しかけられずとても寂しかったのを覚えている。常連だからすぐ買って気軽にグループ通話に参加するってことが簡単に出来たわけなんだけど、これが新人さんで参加したてだとしたら4人の通話グループに積極的に入っていくのはなかなか難しい。
そこで、トランシーバーなら買ってきてチャンネルを合わせるだけでOK、とりあえず聞いてるだけで連帯感UP、その装備も本体を腰に差して付属のイヤホンを耳につけるだけという手軽さからまずこれを推奨しておきたい。
そのうち親しくなって慣れたら積極的に送信し出すようになるし、さらにより親しい間柄になったら同時通話な会話をするインカムを併用していくのはいかがであろうか。
せっかくいいアイテムが安く手に入る時代になったんだから、積極的に利用して楽しんでいきたいですよね 😉
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